Clashを初めて使うと、「プロキシ契約」「購読リンク」「ノード」という言葉が同じ意味で使われているように見えます。しかし、3つは別のものです。契約は通信サービスを利用するための購入関係、購読リンクはその契約内容をClashへ渡すためのURL、ノードは実際に接続先として選択できるサーバーを指します。ここを分けて理解すると、サービスを購入したのに接続できない、URLを更新したら設定が消えた、無料リンクを登録したら情報が漏れた、といったトラブルを避けやすくなります。
Clashやmihomoは、プロキシサービスそのものを提供するアプリではありません。クライアントは購読情報を読み込み、ノード、プロキシグループ、ルールを使って端末の通信を振り分けます。したがって、Clashをインストールしただけでは通常、利用できるノードはありません。別途、信頼できるサービスから設定情報を取得し、クライアントに登録する必要があります。
契約・購読リンク・ノードを順番に理解する
プロキシ契約は通信サービスの利用権
プロキシサービスの契約では、サービス提供者が用意したサーバーや中継ネットワークを、一定期間または一定の通信量まで利用します。料金プランには、月額、年額、通信量上限、同時接続台数、対応プロトコル、利用可能な地域などが設定されていることがあります。契約しただけで特定の1台へ固定されるとは限らず、複数の接続先をまとめて利用できる仕組みが一般的です。
契約時に発行されるアカウント情報と、Clashへ登録する購読リンクは同じものとは限りません。会員ページへログインするメールアドレスやパスワードは、サービス管理画面に入るための情報です。一方、購読リンクにはノードの接続情報や設定を取得するための認証情報が含まれることがあります。URLを第三者へ渡すと、契約内容を不正利用される可能性があるため、パスワードと同じように扱ってください。
購読リンクは設定を取得するURL
購読リンクをClash Verge、Clash Verge Rev、FlClash、Clash for Androidなどに登録すると、クライアントは提供元のサーバーへアクセスします。サーバーは通常、複数のプロキシ設定をまとめた形式で応答します。クライアントやサービスによって、YAML、Base64でエンコードされたURI一覧、またはClash向けに変換された設定が返されます。利用者が形式を手動で判定する必要はありませんが、「Clash用」「Clash Meta用」「mihomo用」などの指定がある場合は、対応する形式を選ぶことが重要です。
購読更新は、契約内容を再取得する操作です。サーバー側でノードが追加・削除されたり、利用期限が変更されたり、ポリシーグループが更新されたりすると、次回の更新後にクライアントの表示も変わります。購読リンクを更新しても、クライアント本体やmihomoカーネルが最新版になるわけではありません。購読データ、ルールデータ、クライアントアプリは、それぞれ別に管理されます。
ノードは実際の接続先
ノードは、サーバーのアドレス、ポート、通信方式、暗号化方式、認証情報などを組み合わせた接続設定です。画面には「日本」「シンガポール」「米国」などの地域名や、速度、負荷、倍率を含む名前で表示されることがあります。ただし、名前だけで実際の所在地、速度、運営者、用途が保証されるわけではありません。ノード名はサービス提供者が自由に付けられる表示名です。
| 用語 | 役割 | 変更される場所 | 失効した場合 |
|---|---|---|---|
| 契約 | サービスを利用する権利 | サービスの会員ページや決済画面 | 更新停止、通信量超過、期限切れなどが起きる |
| 購読リンク | Clashへ設定を配布するURL | クライアントのProfiles、Providersなど | 更新失敗、認証エラー、設定取得不能になる |
| ノード | 通信時に選ぶ接続先 | プロキシ一覧やプロキシグループ | タイムアウト、接続拒否、遅延上昇などが起きる |
契約前に通信量・端末・対応形式を確認する
価格だけでサービスを選ぶと、契約後にスマートフォンで使えない、購読形式がClashに対応していない、動画視聴で通信量を使い切るといった問題が起こります。申し込み前に、少なくとも利用端末、月間通信量、同時接続数、購読形式、サポート範囲を確認してください。特に「無制限」と書かれていても、速度制限、混雑時間帯の制限、公平利用ポリシーが別に定められていることがあります。
- 通信量:Web閲覧中心か、動画、オンライン会議、OS更新も使うかを考えます。高画質動画は短時間でも大量の通信量を消費します。
- 対応端末:Windows、macOS、Linux、Android、iPhoneなど、必要な端末が明記されているか確認します。
- 同時接続数:「5台対応」と「5接続対応」は意味が異なる場合があります。端末数と接続セッション数を区別します。
- 購読形式:Clash、mihomo、sing-boxなど、利用するクライアントに合う形式が提供されているか確認します。
- 更新方法:有効期限、通信量、ノード変更が購読更新へどう反映されるかを確認します。
- 返金とサポート:接続不能時の問い合わせ窓口、返金条件、障害情報の公開方法を確認します。
通信量の目安を考えるときは、普段の使用量に余裕を加えます。たとえば毎月100GB程度を使う家庭であれば、上限100GBのプランでは余裕がありません。動画の画質、複数端末の利用、バックアップやアップデートを含め、少なくとも20~30%程度の余裕を見ておくと、月末に突然速度制限へ入る可能性を下げられます。
購読リンクをClashへ登録する実際の手順
登録前にリンクの出所を確認する
まずサービスの会員ページから、利用するクライアントに対応した購読リンクをコピーします。URLをコピーする際は、末尾の文字列が欠けていないか確認してください。メッセージアプリやメールでは、URLが途中で改行されることがあります。リンクを公開チャット、SNS、画面共有、公開スクリーンショットへ貼り付けないでください。
- Clashクライアントを公式の配布ページからインストールします。
- サービスの会員ページでClashまたはmihomo向けの購読リンクをコピーします。
- クライアントの「Profiles」「プロファイル」「サブスクリプション」などの画面を開きます。
- URL入力欄へリンクを貼り付け、名前を付けて保存します。
- 取得された設定を選択し、更新日時、ノード数、エラー表示を確認します。
- 「Proxies」画面でプロキシグループを開き、テスト用のノードを選択します。
- 最後にシステムプロキシを有効にし、ブラウザーで接続を確認します。
クライアントによって画面名は異なりますが、最初からTUNモードを有効にする必要はありません。まずはシステムプロキシでWebブラウザーを確認し、購読、ノード、ルールが正常に動作することを確かめます。TUNはシステムプロキシを読まないアプリや、端末全体の通信を扱いたい場合に追加で検討します。初回からTUNを使うと、DNS、ルーティング、管理者権限の問題が重なり、原因を特定しにくくなります。
プロファイルとプロキシプロバイダーを混同しない
クライアントによっては、購読全体を1つのプロファイルとして読み込む方式と、ノード一覧だけをプロキシプロバイダーとして参照する方式があります。前者では購読側のDNS、ルール、プロキシグループがまとめて反映されます。後者ではローカル設定側のルールやグループに、外部から取得したノードを組み合わせます。更新後に自分で追加したルールが消えた場合は、購読YAMLを直接編集していないか確認してください。
proxy-providers:
my-service:
type: http
url: https://example.invalid/subscription
interval: 86400
path: ./profiles/my-service.yaml
上記はmihomoで使われる構成の一例です。urlは購読取得先、interval: 86400は24時間ごとの更新を意味します。実際の項目名、認証方式、対応機能はクライアントとカーネルのバージョンによって異なるため、サービスが配布する設定例を優先してください。購読URLを本文や設定ファイルの公開リポジトリへ保存するのは避けます。
ノードを選び、接続できないときに切り分ける
ノード一覧に表示されても、すべてが同じ品質とは限りません。遅延テストの数値は、テストURLへ到達するまでの応答時間であり、動画や大容量ファイルの実効速度を保証する値ではありません。遅延が80msでも混雑していれば速度が出ないことがあり、200msでも安定して通信できるノードが実用的な場合があります。
- 最初は自動選択グループでテストし、極端に遅いノードやタイムアウトするノードを避けます。
- 同じ地域名のノードを2~3個試し、Web閲覧、画像表示、動画再生を別々に確認します。
- 手動選択グループでは、選択後に接続状態と実際のアクセス結果を確認します。
- 速度テストを30秒間隔で全ノードに実行する設定は、通信量とバッテリー消費を増やすため避けます。
- ノードが一斉に消えた場合は、まず購読更新、期限、通信量、サービス障害を確認します。
接続できないときは、次の順番で確認すると効率的です。最初にClashのプロファイル更新が成功しているかを見ます。更新自体が失敗しているなら、URLの欠落、期限切れ、認証エラー、ネットワーク接続を確認します。更新が成功しているのに1つのノードだけ失敗するなら、そのノードの障害や混雑の可能性があります。すべてのノードが失敗するなら、システムプロキシのポート、カーネルの起動状態、DNS、ファイアウォールを確認します。
curl --proxy http://127.0.0.1:7890 https://example.com/
curl --proxy socks5h://127.0.0.1:7890 https://example.com/
上記のポート番号は例です。Clashクライアントの設定画面で、HTTP、SOCKS、Mixedの実際の待受ポートを確認してから使用してください。ブラウザーだけが失敗する場合はブラウザー側のプロキシ設定やDNSを、コマンドラインだけが失敗する場合は環境変数や引数を確認します。プロキシを有効にしたまま別のプロキシクライアントも起動すると、ポート競合や二重処理が発生することがあります。
無料配布リンクと危険なサービスを見分ける
インターネット上には、無料ノード、永久購読、無制限高速と宣伝するリンクがあります。しかし、無料であること自体が問題なのではなく、運営者、利用規約、データの扱い、更新元が確認できないことが危険です。購読リンクは単なる一覧ではなく、接続先や認証情報をクライアントへ配布する入口です。悪意のある設定が含まれている場合、通信を意図しない経路へ誘導される可能性があります。
- 運営者、利用規約、連絡先、障害時の案内が確認できない。
- 購読リンクを短縮URLで隠し、リダイレクト先を説明していない。
- Clashへ登録するために、メールパスワードや決済情報を要求する。
- 管理者権限、未知の証明書、別の実行ファイルをインストールするよう求める。
- 「全通信を復号する証明書」や、端末のユーザー補助権限を理由なく要求する。
- 異常に多い広告、短時間で失効するリンク、他人の認証情報を含む設定を配布する。
安全性を確認するには、まず提供元のドメイン、HTTPS、契約条件、サポート窓口を確認します。設定をインポートした後は、プロキシグループ、DNS、ルール、外部コントローラーの待受設定を確認してください。管理画面をLANへ公開する設定や、見覚えのない外部ルールURLが追加されている場合は、そのまま使わず、提供元へ確認するかローカル設定を作り直します。サービスの契約情報とClashの設定を分けて保存し、不要になった購読は削除することも重要です。
初心者向けの安全な利用手順
最初は多くの機能を同時に有効にせず、1つずつ確認します。以下の順番なら、契約、購読、ノード、クライアントのどこに問題があるかを把握しやすくなります。
- 利用する端末と月間通信量を決めます。
- サービスの対応クライアント、購読形式、同時接続数を確認します。
- 契約後、会員ページから購読リンクを取得します。
- リンクを安全な場所へ一時保存し、他人へ共有しません。
- Clashまたはmihomo対応クライアントへ登録します。
- プロファイル更新の成功、ノード数、ルールの読み込みを確認します。
- 自動選択または手動選択で1つのノードを選びます。
- システムプロキシだけを有効にして、通常のWebアクセスをテストします。
- 必要な場合だけTUNを有効にし、VPN許可、DNS、除外アプリを確認します。
- 契約期限、通信量、購読更新日時を定期的に確認します。
設定を変更する前には、現在のプロファイルやカスタムルールをバックアップしてください。ただし、購読URLをそのまま公開バックアップへ入れないようにします。URLを保存する必要がある場合は、パスワードマネージャーなどアクセス制御された場所を使います。ノードの数が多いときは、常用する地域や用途に合わせてプロキシグループを整理し、不要な自動テストを減らすと、選択もしやすくなります。
よくある質問
Clashをインストールすれば、すぐ通信できますか?
通常はできません。Clashは通信を処理するクライアントであり、別途プロキシサービスの契約と購読設定が必要です。ローカルで自分のノードを用意している場合を除き、利用できるノードは自動では追加されません。
購読リンクとノードのURLは同じですか?
同じではありません。購読リンクは複数のノードやグループを取得するための入口です。ノードは個別の接続設定で、購読を更新すると内容が追加・削除されることがあります。
契約を更新したのにノードが使えません。なぜですか?
契約更新後に購読リンクを更新していない、古いURLを登録している、通信量制限や認証状態が反映されていない可能性があります。まず購読更新の結果と期限を確認し、その後に別のノード、待受ポート、システムプロキシを確認してください。
無料の購読リンクを使っても問題ありませんか?
提供元と設定内容を確認できない無料リンクは避けるのが安全です。購読URLには認証情報が含まれる場合があり、悪意のある設定や不安定なノードが配布される可能性があります。利用する場合も、重要な通信や個人情報を扱う端末では慎重に判断してください。